鉄代謝（鉄欠乏性貧血を診断）
赤血球の中にはヘモグロビンという
タンパク質があります。
ヘモグロビンには酸素と結合する
能力があり、肺で受け取った酸素を
体じゅうに運ぶ働きがあります。
ヘモグロビンはヘムというタンパク質と
グロビンというタンパク質が結合して
出来ています。
ヘムの中心には鉄分子があるので、
ヘモグロビンをつくる為には
鉄が必要なのです。
鉄は壊れた赤血球から再吸収されて
新しい赤血球がつくられる時に再利用
されます。
なので、通常は新たに鉄分をたくさん
摂る必要はありませんが、
出血などで鉄分が失われた時は、食事
などで補わなければなりません。
10代後半から20代前半にかけて、成長の
為の鉄分と月経が重なる時は鉄分が不足
します、その為女性は男性よりも鉄分を
多く摂取しなければなりません。
体内では鉄とトランスフェリンという
タンパク質が結合したものとしていない
ものがあります。
鉄と結合しているトランスフェリンを血清鉄
結合してないトランスフェリンを不飽和鉄結合能
両方の総和を総鉄結合能と云います。
健康診断では血清鉄だけをみれば十分です。
健康診断で問題になるのは鉄の値が低下する
ほとんどが鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血では血清鉄とフェリチンが下がり、
不飽和鉄結合能があがります。
鉄を補充して摂れば回復しますが、フェリチン
（貯蔵鉄）が上がるまで補充し続けなければ
なりません。
〈鉄-血清鉄の正常値〉
1デシリットル中の血清鉄の重さ
女性 40~162μg/dL
男性 64~187μg/dL
〈総鉄結合能の正常値〉
血清鉄と不飽和鉄結合能の和
女性 246~396μg/dL
男性 238~367μg/dL
〈フェリチンの正常値〉
1ミリリットル中のフェリチンの重さ
女性 3.6~114ng/dL
男性 39.4~340ng/dL
〈不飽和鉄結合能の正常値〉
1デシリットル中の不飽和鉄結合能の重さ
女性 159~307μg/dL
男性 117~275μg/dL
特に女性は鉄分不足に注意しましょう。
